今回は、著者 ビル・パーキンスの『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』をご紹介します。
本書は2020年9月に発刊されていますが、今でもニュースなどで取り上げられるほど、人気、知名度ともに高い一作となっています。
ネタバレしない程度の概要と、僕の個人的な感想を記載していますので、興味がある方は是非、ご一読を。
それではいってみましょう。
Contents
アリとキリギリス。どちらが幸せなのか?
冒頭は、あの有名な「アリとキリギリス」のイソップ寓話から始まります。
簡単に内容を説明すると、必ずくる冬に向けて、夏の間にアリは食料を蓄える為に働き続けました。一方キリギリスは、冬の準備などは一切せず、夏を満喫して遊んで暮らしていました。やがて冬が到来したとき、食料を蓄えていたアリは生き残り、夏を遊んでくらしていたキリギリスは悲惨な現実が訪れます。
「アリとキリギリス」の解釈は、将来の為に準備をせず、散財ばかり行っていると、悲惨な現実が訪れる、という人生の教訓になります。
これが一般的に知られている内容であり、ほとんどの人がこのような解釈をしていると思います。
しかし本書では、まったく違う視点から解釈を進めていきます。
この寓話、キリギリスの結末は描かれてはいますが、アリの結末は描かれていません。キリギリスは冬には悲惨な結末を・・・と書かれていますが、では逆に、アリはいつ遊ぶことができるんでしょうか?
この考えこそが、まさしくこの本のテーマ、『ゼロで死ね』につながっていくのです。
人生の目的
キリギリスの末路を知っているからこそ、遊んでいてばかりでは駄目だ! 読み手はそう解釈することができます。
しかし、アリの末路を知っていたらどうなるでしょうか?
例えば、アリはたしかに夏を我慢して働き、冬を生き延びました。ただここで、一つの疑問が生まれます。
アリは、いつ遊ぶことができるのしょう?
アリの結末が、奴隷のように働き続けた上、キリギリスのように遊ぶことを知らないまま死んでいくという話だったとしたら、アリとキリギリス、どちらが幸せなで、どちらが悲惨だと言えるでしょうか?
これは人それぞれの解釈と、価値観により異なるかもしれません。だけど、誰もが限りある時間を、必ず誰にでも訪れる「死」までの時間を、ずっと奴隷のように働きたいと思っている人は少数派だと思います。
それでは、働かなくてもいいのか?
答えはNoです。
生きる為に働いて、お金を稼がないといけない現実も、もちろんあります。しかし、誰もが今の自分の生活以上を望んでいることはたしかです。もっと自由に好きなことをしたい。「本当の人生」を歩みたいと、潜在的に望んでいるんです。
ただ生きるのではなく、十分に生きる。
経済的に豊かになるだけではなく、人生を豊かにするための方法を考える。
それがこの本のテーマだと、筆者は綴っているのです。
価値観が変わる9つのルール
この作品では、「十分に生きる」ためのルールが9つ挙げられています。
ここではそのルールの1つ、「今しかできないことに投資する」をご紹介します。そのほかのルールについては是非、本書で確認して頂ければと思います。
このルールの説明では、下のような過去の物語から始まります。
話しは2008年に遡ります。あるところに、弁護士として働いている夫婦がいました。その夫婦には、3人の子供がいて、何一つ不自由のない幸せな暮らしを送っています。
そんなある日、夫の体に腫瘍が見つかります。明細胞肉腫と呼ばれる稀ながんだったそうで、夫の背中と脚の骨に腫瘍は広がっていました。そのことを知った妻は仕事を退職。夫のがん治療の合間に一緒に公園に行き、映画を観て、テレビゲームをし、授業を終えた子供を学校まで迎えに行きました。
その1ヶ月後、病状が急速に悪化します。夫は子供の成長した姿をこの目で見ることも、妻と一緒に年を重ねていくことも叶わず、がんと診断されてからわずか3ヶ月で、天国へと旅立つのです。
物語としてはここで終わりですが、妻の立場で考えると、夫のがんが発覚したときにどのような行動をとるでしょうか? 本書では、きっとこの妻と同じ行動をとるに違いないと記述されています。
普段はぼんやりとしていて、ほとんど意識することのない「死」という存在。
しかし、死が近づいてきたとき、先が長くないと知ったとき、ようやく考え始めるのです。
自分は今までいったい何をしていたのだろう? これ以上、先延ばしをせずに、今すぐ、本当にやりたいこと、大切なことをすべきだ、と。
さらに本書ではこうも言っています。
喜びを先送りしすぎている。手遅れになるまでやりたいことを我慢し、ただただ金を節約する。
人生が無限に続くかのような気持ちで。
人生を変える一つのきっかけに
簡単に本書の一部をご紹介しました。
人生が無限に続くかのような気持ち・・・・・・まさしくその通りだなと僕自身、改めて感じました。絶対にいつかは必ず死ぬ、ということがわかっているのに、それは遥か遠い未来=無限 のような感覚で生きてしまっていないでしょうか?
「死」が訪れるのは突然です。
何の前触れもなく、それは必ず、そして、誰もがそれを『突然』と表現します。なぜなら無意識に、「無限の人生」と思い、潜在的に「死」を遠ざけてしまっているからです。それが近づいているとわかっているときでさえ、誰かに言われるまでは「死」を真っすぐに見つめようとはしません。
しかし、必ず訪れる死のことを、この本でははっきりと綴られています。誰もが目を背けたくなるような現実もすべてです。
ただ、その現実を知り悲観して終わるのではなく、知ったうえでどうすべきなのか、ということが描かれて、人生の考え方、生き方を、改めて考えることができる。そんな素晴らしい作品でした。
ちなみにこの作品、いろんな場所で紹介、考察されています。
その中の一つ、リベラルアーツ大学のyoutube動画でも紹介されていますので、興味がある方は是非観てみてください。
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